2021-10-01
白い布を織るという事
お蚕さんの吐く糸は、白。
玉小石の白は特に美しく、見ていて飽きることはありません。
白という色は、崇高で近寄りがたくもあります。
浄化や清浄の意味もあるようです。
産着は白、死後の旅立ちの衣装も白であることを思うと、全てのはじまりでもあり、終わりでもあるのかもしれません。
光の三原色が合わさると白になるというのも、面白いと思います。
私は、座繰りで引いたお蚕さんの白い糸を、白のまま織ることが多いです。
(経糸にも、玉繭の座繰糸を使っています。)
白を織ることは、一見単純で、退屈なように思えます。
けれど実は、白をシンプルな平織りで織り、後から無地に染めて使うということは、とても神経を使うのです。
なぜなら、染めてみるまで、良し悪しが分からないからです。
精練のムラ、糸の太い細い、経糸の張り緯糸の引き、打ち込みの強さなど、全ては染色後に表れます。
染めに出した布が、難なく染め上がって戻ってきた時は、本当に、ホッとします。
(染めてくださっている方も、相当に気を張って染めてくださっています)